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宇宙を感じたエピソード

 

私がここ最近で一番「宇宙」の存在を意識したエピソードは、隕石の落下事件だ。昨年のはじめ、ロシアに隕石が落下したニュースが騒ぎになった。その際の映像はネット上でも地上波でも何度も流れ、その際には過去に落下が目撃されたほかの隕石の数々の映像もあわせて放映されたものだ。その隕石の一部は採掘され、ソチオリンピックの際には一部のメダル獲得者に通常のメダルとは別にこの隕石の一部が埋め込まれた”隕石メダル”が贈呈されたようだ。宇宙からの飛来物、というとなんだかロマンチックではあるし、落下の様子を映像でしか見たことがないからこそ自分も肉眼で見てみたいとも思わなくもないが、実際に自分の家の近所にあんなものが落ちてきたらそれどころではないだろう。映像を見たときは、空から輝く物体が落ちてくる光景の神秘さに目を奪われる間もなく、大きな爆発音や地をつたう落下の衝撃波に恐怖を感じた。ロシアに落ちた隕石はおおよそ直径15mほどで、高度30~50kmあたりの高さで分解したらしいが、その破片であそこまでの衝撃が起こるとは思ってもいなかったので衝撃だった。隕石があの程度の大きさだったからまだ被害はそこまでひどくはなかったが、考えてみれば恐竜の絶滅の原因が隕石だなんて話もよく聞く。より大きな隕石が人口の密集した大型都市に落ちたらどれだけ大きな被害が出てしまうのか、想像しただけでも恐ろしい。

 しばしば○○座流星群や彗星などの観測がニュースやネットで取り上げられると、どこの誰と話していてもその話題は出てくる。私もその時は部屋の電気を消して家の窓からずっと外を眺めていたりもした。人は普段は天体の動きなど意識することはほとんどない(そもそも東京ではあまり見えないというのも大きい)が、非日常への好奇心という意味で人はみな宇宙に対する関心をかなりの人が強く持っているのだと思う。あのきれいな星たちがこちらに向かって突っ込んでくる様子を想像したくはないが、隕石や流星群のようなものを改めて考えると、いま私たちが当たり前に生活しているこの地球を取り巻く周囲の環境が、いかに非日常的な想像もできない事態であふれていて、あらゆる世代の人々を無意識に魅了させる力を持っているかがよくわかる。そういった意味ではこれまでに多くの宇宙を舞台にしたSF作品が生み出され、大ヒットしてきたのも頷ける。夜空を彩る天体たちは人々の目には当たり前のように映っていて、どんな名前でどの辺にあって…という知識もみな持っている。それなのに宇宙には未知なことばかりである。完全に空想上の出来事であるファンタジーとは違い、SFには「もしかしたら将来、実際にこんなことが起きるかもしれない」という期待のようなものを抱かせる何かがある。私自身、もともとSFに特別強い思い入れがあるわけではないが、私の生きているあと週十年の間に、少しでもこの謎多き隣人の持つ秘密が解き明かされることを楽しみにしている。

 

itsui

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