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人間らしさを利用したシステム

 

近年、技術の発展により初期設定さえ入力してしまえばその後は全自動で動くことのできる、ロボット的な家具や電化製品が増えてきた。とはいえ、高度な動きができる科学の粋を集めたようなロボットは容易に量産できるものではなく、また全自動とはいえ高度な人工知能を搭載しているわけではなく、それらの機械はあくまで一定のプログラムに従って行動しているだけである。最初こそ機械が「自動」で家事を手伝ってくれる光景に目新しさと感動こそするものの、段々と見慣れてくるにつれてその喜びは薄れてしまう。また、少なくとも現段階で販売されているような家電ロボットはまだそこまでの高精度とは言えず、質を求めるなら人間が自分で家事をしたほうが良いといえる。では、それらのロボット家電はどうすれば購買意欲をそそるのか。私は、方向性を変えより機械と人がインタラクトにかかわれるような製品ができればよいと思う。

そのようなロボット的な電化製品の中で(一般家庭レベルで)代表的な掃除ロボットのルンバを例に考える。ルンバはセンサーを搭載しており起動後は自動で床を駆け回り、部屋を掃除してくれる。たいていは平たい円系の、座布団のような形状をしているがそのロボットが独りでに床を掃除する姿は当初、かなりもてはやされた。私の家にも1台ルンバがあり、何度も使用したことがあるが確かに自動で楽とはいえ、障害物が多い場所ではうまく動けず、またルンバ本体の形から部屋の隅にあるごみはとりづらいなど、用途はなかなか限られてしまい、果たして便利といえるかはわからない。

そこで考えを大きく転換し、「自動=便利」にこだわるのではなく、ルンバをある種の愛玩ロボットのようなものにしてはどうかと思った。メインの掃除機能は最低限つくとして、たとえば人の声や姿に反応して何かしらのアクションを起こす、時にはルンバの側から人間にアクションを仕掛けてくるなど、一昔前にはやったロボット犬のようなシステムをルンバに組み込む。一見、何の意味もないような仕掛けだが、こうしたアクションを通じルンバを単なる「家具」としてではなく「お手伝いロボット」的な感覚で人に認知をさせることで、本来の機能に特化した製品とは購買目的のベクトルをずらし別の畑で人気が出るのではないかと思った。

 

itsui

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